解散総選挙で日本はどうなるのか? いち早く安倍政権の5年間を総括する!
安倍政権批判の急先鋒・作家適菜収が指摘する国家の危機
安倍批判の機能不全
安倍政権を支えてきたのは、反安倍勢力、旧態依然とした左翼といえるかもしれません。現状認識がまったくできていない。左翼は「安倍はナショナリストで排外主義者で戦前回帰を目論む軍国主義者だ」というわけです。「国境や国籍」にこだわらない人間がナショナリストであるはずはないし、国民を騙しながら移民政策を進め、大量の中国人を国内に入れようとしている人間が排外主義者なわけがないでしょう。戦前回帰を目論むどころか、アメリカに尻尾を振り、財界の要望に従い、ナショナルなものの解体を図ってきたのが安倍政権です。
左翼の多くは冷戦時代で思考が停止している。だから、「安倍は保守反動だあー」などと頓珍漢なことを言い出す。あれだけ動き回っているやつが反動なわけないでしょう。
政治思想の初歩の初歩を振り返ればわかるように、安倍は保守の対極にある人物です。
結局、左翼も冷戦時代のテンプレートに乗り、ステレオタイプの批判をして生ぬるい世界で充足しているだけなんですね。
結局同じ穴のムジナ。構造改革だって、遡れば左翼の発想でしょう。
一方、世の中で「保守」と思われてきた連中も完全に思考停止している。歴史的背景、思想的背景を理解していないので、「左翼に対して強硬な姿勢をとる安倍政権は素晴らしい」となってしまう。
結局、安倍政権を支持しているのは、利権がある連中か、単なる反左翼の思考停止した連中(保守系論壇誌に多い)か、新自由主義を保守と勘違いしているバカか、改革幻想に踊らされた花畑なんですね。
大衆は「改革」という言葉に惹かれます。構造改革を進めないと未来はない。規制緩和を進めろ。既得権益を剥がしとれ!
こうして歴史により築きあげられてきた諸制度が解体されてきたのがこの四半世紀のわが国の歴史です。
スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットは言います。
《飢饉が原因の暴動では、一般大衆はパンを求めるのが普通だが、なんとそのためにパン屋を破壊するというのが彼らの普通のやり方なのである。この例は、今日の大衆が、彼らをはぐくんでくれる文明に対してとる、いっそう広範で複雑な態度の象徴的な例といえよう》(『大衆の反逆』)
キーワードは無知と忘恩。
われわれは、自分たちの息の根を止めようとしているのです。
〈『安倍政権とは何だったのか』より構成〉